仮想通貨の世界でのバリデーターとはブロックチェーンが問題なく動作するように働くネットワーク参加者のことです。ブロックチェーンネットワークの稼働に貢献することで、その対価として報酬が得られます。
重要なことをはじめに書いておくと、イーサリアムのバリデーターになるには32ETH必要でサーバー運用のスキルも必要なので普通の人がバリデーターになるのはものすごくハードルが高いです。
もし、イーサリアムを持っているだけで報酬を得たいなどであれば、ステーキングのサービスを利用するのが吉です。仮想通貨取引所やLIDOといったサービスがあります。
ということを伝えたうえで、ここでは次の内容について書いています。
- バリデーターの主な3つ役割
- イーサリアムのバリデーターになるための条件とペナルティ
- イーサリアムのバリデーターの報酬ってどれくらい?
- イーサリアムバリデーターの数は? 何個存在している?
バリデーターはPoSのブロックチェーンにて役割を果たす
バリデーターは、特にProof of Stake (PoS) やその他のステークベース、つまりはたくさんネイティブトークンを持っていると有利となるコンセンサスアルゴリズムを採用しているブロックチェーンネットワーク上でその役割を果たします。
ビットコインのコンセンサスアルゴリズムであるPoWでは、同様な役割を果たすネットワーク参加者をマイナーと呼びます。
ブロックチェーンでは、取引やブロック(取引データが格納されている「箱」のようなもの)が正しいかどうかを確認し、各参加者間で同意を得たうえで、データを記録していきます。そして、全ての参加者間で同じデータのコピーを保持しています。
その同意をプロセスを「コンセンサス」と呼びます。バリデーターは、このコンセンサスプロセス、つまりネットワーク上で取引が正しいと認められるかどうかを決める役割を担っています。
仮想通貨、ブロックチェーンにおけるバリデーターの仕事
バリデーターの仕事は大きく3つです。
- 取引の検証
- ブロックの生成(データの追加)
- セキュリティを守る
取引の検証
バリデーターは、イーサリアムネットワーク上で行われたトランザクションが正しいかどうかを検証します。例えば、トランザクションの署名が正しいか、送信者に十分な残高があるか、ブロックチェーンに追加して問題ないかなどを検証します。
ブロックの生成
バリデーターは正しい署名かどうか、残高不足などないかなどが検証されたトランザクションをブロックにまとめ、この新しいブロックがイーサリアムブロックチェーンに追加しても構わないか、ネットワーク全体に聞きます。
それでコンセンサス(合意)が取れたら、ブロックを新たに生成します。
ネットワークのセキュリティ
バリデーターは自らのトークンをステーク(「賭ける」という意味のstakeから来ています)することでネットワークに貢献し、報酬を得ることができます。その一方で、トークンを失うリスクもあります。
というのも、バリデーターは不正行為をしたり、必要なときにオフラインになっていたり稼働できなかったりした場合、スラッシングと呼ばれるペナルティを受け、ステークしたトークンの一部を失うからです。
この仕組みによって、バリデーターは報酬を得るチャンスを得るインセンティブとネットワークのルールに従うインセンティブが働きます。
バリデーターの仕事を通じてブロックが生成される流れ
AさんからBさんに0.01ETH送るといったような簡単な取引から、スマートコントラクトを使ったもっと複雑なやりとりがあった場合でも、基本的には以下の流れでブロックチェーンへの記録していきます。
- バリデーターの選出
- 新しいブロックの案を作成
- 案として出されたブロックのチェック
- バリデーター同士の同意が集まる
- ブロックが追加され報酬が配分される
1.バリデーターの選出
バリデーターはランダムに選ばれます。バリデーターは1人1個というような制限はありませんので、数を増やせば選ばれる確率は上がります。
2.新しいブロックの案を作成
選ばれたバリデーターは、新しい情報(トランザクション)を含む新しいブロックを作って、それをシステムに追加しようと提案します。このブロックには、前に作られたブロックの情報も入っています。
3.案として出されたブロックのチェック
他のバリデーターがその提案されたブロックを見て、中に入っている情報が正しいかどうかをチェックします。これには、送金が正しく行われているかなどが含まれます。
4.バリデーター同士の同意が集まる
ブロックが正しいとみんなが納得したら、バリデーターは「証明」という印をつけます。これは、「このブロックは正しいよ」という合意を示します。
十分な数の証明が集まると、そのブロックは正式に承認されて、イーサリアムの記録に追加されます。これで、そのブロックに含まれる取引などが正式に認められます。
5.報酬が配分される
ブロックを提案したり証明に参加したりしたバリデーターは、その貢献に応じて報酬をもらいます。報酬は新しく作られるイーサリアムや、取引の手数料(ガス代)として支払われます。
イーサリアムのバリデーターになるための条件、報酬、ペナルティ
今から個人でバリデーターになるには相当額のイーサリアムが必要(32ETH)なのと、サーバーの知識も必要なので、ハードルはかなり高いです。
ETHを昔から持っていて32ETHくらいはあるとか金銭的に余裕があり、さらに自宅サーバーの運用もできるような人はやってみるのも手かもしれません。イーサリアムのブロックチェーンネットワークに貢献できて、配当収入のような形で収益も発生します。
普通の人がイーサリアムのバリデーターになるのはものすごいハードルだと思うので、仮想通貨取引所やLIDO(リドではなくライドウみたいな発音)といったサービスを利用するほうが一般的かとは思います。サーバーを稼働させる必要もなく、少額からでも報酬を得られます。
バリデーターになる条件
イーサリアムのバリデーターになるには、32ETHをネットワーク上に預ける必要があります。単純にETHを預ければいいのではなく、
2024年の2月末だと1ETH=50万円くらいになっているので、けっこうな額になることが分かります。これはバリデーターがネットワークに対して責任を持ち、信頼性を確保するための「保証金」のようなものです。
なお、32ETH単位なのでそれより多くは預けられず最低且つ最高額1となります。後述するペナルティで減ることはあるので、常に32ETHではないです。
32ETH単位のステーキング(預け入れ)でバリデーターが稼働する形になりますので、もし64ETH使えるなら2つバリデーターを稼働させられます。
バリデーターのペナルティ
また、不正行為をするとペナルティが発生し、ステークしたETHの一部を失うリスクがあります(スラッシング)。不正行為をしなくても、必要なときにネットワークにつながっていなかったり稼働できなかったりした場合にもペナルティが科されます。
ネットワークに対してどのくらいの不利益を与えたからよってペナルティの量が変わります。ペナルティを受けてステークしたETHが16ETHを下回ると強制退出2となってしまいます。減った分を補充することは可能です。
そうしたリスクや最低額が高額というのもあって、リキッドステーキングという小口化してペナルティなくETHを預けられるサービスも登場しています。代表的なのがLIDO(リドではなくライドウみたいな発音)です。
イーサリアムのバリデーターの報酬額は年利3~4%

バリデーターとしての報酬は年利で3~4%と言われています。2021年あたりからのデータをみても、そのくらいで推移していることが分かります。
ただ、再投資型の投資信託などとは違って複利にはなりません。ステークできるのは32ETH単位でそれ以上は一度にステークできないので、32ETHを超えた分は自動的に払われます3。
イーサリアムのバリデータの数はどのくらい?

Duneというサイトを見ると、この記事を書いた時点で977,776のバリデーターがイーサリアムには存在しているようです。
まとめ
以上をまとめると、こちらのとおりです。
- バリデーターになるのに必要な最低ETHは32ETH(32ETH単位でバリデーターになれる)
- ETHがあれば誰でもバリデーターになる資格はあるが、サーバーを自分で稼働させられるスキルが必要
- バリデーターの役割は検証、ブロックの生成、セキュリティ確保の3つ
- バリデーターは役割に応じて報酬をもらえるが、逆にペナルティが科されることもある
- ペナルティをたくさん受けてステークしたETHが16ETHを下回ると強制退場させられる
- バリデーターの報酬は年利3~4%くらいで推移している
※脚注
- 32ETHはValidator FAQs(How much ETH do I need to stake to become a validator?)に書かれています ↩︎
- 16ETHを下回ると強制退出という話もValidator FAQs(When should I top up my validator’s balance?)に書かれています ↩︎
- 32ETHを超える分は自動で支払われるという話もValidator FAQs(Is there any advantage to having more than 32 ETH at stake?)に書かれています ↩︎
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